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病院へ行く

海外生活で最も心配なのは、病気やけがではないでしょうか。「質の高い医療が受けられるのか」、「予防接種はどうしたらいいか」等の疑問にお答えします。

タイの医療事情


タイ国内の医療機関は、大きく分けて私立病院、公立病院、私立メディカルセンター、個人診療所の4施設に分けられます。地域や施設により異なりますが、おおむね整っているといえます。受診の際にはパスポート(コピーでも可)と海外旅行保険の証書を持参しましょう。

私立病院


バンコク都内の総合私立病院では、日本の大病院並みの優秀な医師と先端機器が整っており、手術や出産についても安心して受けることができます。日本で医学教育や病院研修を受けたタイ人医師や日本語通訳が常駐している病院もあり、言葉の面でも困ることはありません。ホスピタリティもホテル並みに徹底しています。ホームページで医師の名前や専門が検索できるところもあるので、事前に病院の情報を調べておくとよいでしょう。
地方都市の私立病院でも、特殊な場合を除けば診察に対応しています。私立病院では、診察前にパスポートのほか海外旅行保険の証書、クレジットカードなど、支払能力を示すものを求められる場合があります。医療費は公立病院に比べると割高ですが、治療の質の高さからすれば納得できる価格です。

公立病院


国内には980(2004年)の公立病院があります。医療費も安いため、タイ人はもちろん、連日多くの人であふれ、待ち時間が長くなることもしばしば。また医師の多くは英語が話せるものの、一般のスタッフは英語や日本語が話せないことも多いため、日本人には私立病院のほうが安心でしょう。

タイでの治療にあたって


タイの医療はアメリカ医学界の影響を強く受けていることが特徴で、“早期・根治”を重視しています。このため、日本に比べて処方される薬の量が多いと感じたり、すぐに手術を進められたりすることもありますが、自分の要望をきちっと伝えれば、必ず応じてくれます。特に大きな病気、けがの場合は、納得のいく説明をしてもらうようにしましょう。

救急への対応


緊急の治療を要する場合には、私立病院の救急外来を受けるのがよいでしょう。通常大手の私立病院の救急部門は24時間体制をとっています。予約がなくても受診はできますが、電話で簡単な症状を説明しておくほうがよいでしょう。
救急車については政府でも運用システムを導入していますが、利用する際は大病院に直接電話をかけて依頼するのが一般的です。救急車の料金は無料のところもあれば、有料のところもあります。有料の場合でもそこまで高額ではないようです。

保険の詳細は要問い合わせ

私立病院では、ほとんどの保険会社の海外旅行損害保険を取り扱っています。キャッシュレスサービスなら、病院が直接保険会社に医療保険を請求してくれるので、手間がありません。ただし、適用される治療が契約内容によって異なるため、あらかじめ保険会社に問い合わせて下さい。海外旅行傷害保険でカバーできない治療の場合は、日本の国民健康保険に加入していれば、利用できるものもあります。来院当日は全額支払うことになりますが、帰国後に海外の治療分として市町村・国保組合に申請します。必要な書類や手続きについては、在タイ日本国大使館ホームページにてご確認下さい。クレジットカード付帯の保険でキャッシュレスサービスを受ける場合は、あらかじめ保険会社にギャランティレター(支払い証明書)をもらう必要があります。また、すべての保険の請求手続きは自分で行なわなければなりません。

注意したい病気


衛生管理が万全でない環境での飲食や、香辛料の多いタイ料理などで、お腹を下したり、痔になってしまうこともあるようです。また、高温多湿の気候がゆえ、熱射病にも十分気をつけましょう。反対に、強い冷房などが原因で風邪になるケースもあるようです。一部地域では、蚊から感染するマラリアやデング熱などについても注意が必要です。マラリアの予防薬もありますが、種類が多いため、服用の際は必ず医師に相談して下さい。蚊よけスプレーやクリームなどを、あらかじめ購入しておいたほうがよいでしょう。
インフルエンザ、狂犬病、B型肝炎などについても、日本に比べればリスクが高いといえます。万が一犬に咬まれてしまった場合は、直ちに病院へ行き、ワクチンを接種する必要があります。

医薬品購入時の注意


タイで使用されている医薬品には、タイ資本の製薬会社のタイ製品と、欧米や日本などの外資系製薬会社の輸入品および現地生産品があります。日本とまったく同じものが入手できるとは限りませんが、よく使用されている医薬品はタイでも入手できるでしょう。ただし、類似粗悪品には注意して下さい。安易に薬局で購入すると、含有量や品質の確認が難しいので、医療用医薬品については、医師に処方してもらって下さい。また、一錠中に含まれる成分量は日本より多い場合がしばしばあるので、注意しましょう。


タイで出産する

ー病院を選ぶー

女性にとって出産は人生の一大イベント、病院は慎重に選びたいものです。病院選びのポイントは、まず日本語が通じるかどうか。体調の変化や赤ちゃんの状態など、少しでも気に掛かることがあれば、迷わず医師に相談できる環境が大切です。日本語通訳や日本人医療コーディネーターが常駐する病院に行くのがいいでしょう。
次に心配なのは衛生面ですが、信頼のおける私立病院ならば問題ありません。なかには、JC(I 国際医療機関評価委員会)の厳しい基準をクリアしている病院もいくつかあります。
また、里帰り出産を希望する方は、妊娠がわかった時点で日本の病院に分娩予約をしておきましょう。日本の場合、産院、産婦人科医の不足から希望の病院で出産できないこともあります。

ータイの出産事情ー

タイには助産師という職種がありません。出産の際には、医師が赤ちゃんを取り上げ、小児科医と麻酔医が立ち会う病院もあります。主治医制が取り入れられている病院では、産まれる前から赤ちゃんの主治医を選択することも可能です。
またタイでは、痛みがなく、出産日を指定できる無痛分娩や帝王切開を選択する人が多いようです。



ー入院ー

私立病院の入院部屋はまるでホテルのような個室で、アメニティーも充実。日本では、タオルやパジャマ、ナプキンなど、自身で用意しなければならないものもたくさんありますが、タイでは、病院にすべて揃っているので、スキンケア用品や産後下着など最低限の持ち物で入院することができます。また、産後すぐに退院する女性が多いため、2泊3日の料金パッケージが主ですが、病院によっては、希望すれば何日でも入院することができます。



ー赤ちゃんが産まれたらー

赤ちゃんの健診や予防接種等は、主治医に相談すればどのタイミングで何を受ければ良いのか教えてくれます。また、バムルンラード・インターナショナル病院では、出産や育児に関するセミナーを日本語で行なっているので、チェックしてみましょう。
注意しなければならないのは、赤ちゃんの医療保険です。海外旅行保険では、タイで産まれた赤ちゃんが被保険者にならない場合が多いので、保険会社に確認しておいた方がいいでしょう。



取材協力
バムルンラード・インターナショナル病院、柴野あゆみ先生